うまさの秘密3 風土

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恵まれた自然が酒蔵

「中乗さん」のふるさと木曽は、木曽御嶽山・木曽駒ヶ岳の山々に囲まれた山間地。澄んだ空気と水、極寒の冬と涼風の夏、四季折々に表情を変える山々。特に冬の寒さは厳しく、酒屋さんでビールが凍って瓶が割れた、冷蔵庫は冷凍にならないようにする保管庫、寒冷地ならではのエピソードには事欠かない土地です。
中山道は一里塚を頼りに宿から宿へとたどる街道です。中でも木曽路は、木曽川に沿って険しい峠を越え、深い谷を抜け崖を渡り、山の底をはうようにしてのびている難所。
かつてこの道を伊勢詣、善光寺参りの旅人が行き交い、参勤交代の大名や武士達が連なり、そして俳人芭蕉が、子規が季節をうたいながら通り抜けていきました。中乗さんはそんな旅人をもてなし、癒されるお酒であったはずです。

 木曽谷の厳寒期

木曽谷の気候。木曽の冬は寒いをとおりこして、冷たい空気が身を刺す”凍みる(しみる)”寒さです。充分な寒さは酒造りには重要です。

日本酒は、麹がお米のでんぷん質を糖分に変える仕事と、酵母がその糖分をアルコールに変える仕事とを、もろみの中で同時におこなわせる複雑な発酵工程で造られます。麹菌、酵母菌がもろみの中でバランス良く働いてくれるように大事に温度管理などしなければなりません。この菌体たちは、空気中にたくさんいる野生の菌体に比べ非常に弱く汚染されやすいため、一般的に日本酒造りは野生の菌体が繁殖しにくい気温の低い冬の時期に行われます。
木曽谷の冬は、11月から3月までの醸造期間を通して充分な寒さが続きます。
厳寒期にはマイナス20℃になる時も。人間にとっては少し寒過ぎることもありますが…。

この寒さに大きく3つの原因があります。
一つ目は、御嶽山や木曽駒ケ岳からの吹き降ろす風。
二つ目は、東西の山が近いことによる日照時間の短さ。
三つ目は、地熱や暖気を奪う木曽川の流れ。

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この寒さのおかげで、雑菌の繁殖がおさえられます。
また、お米の温度と水温が適度に低いほうが、お米は蒸すのにちょうどいい水分を吸うことができます。蒸した後のお米もしっかり冷やせてよくしまります。そして、仕込み後の温かくなりやすいもろみを低い温度で管理できますので、味のふくらみがあり、あと味が綺麗な日本酒ができます。