うまさの秘密4 造り

御嶽山に降り積もる雪が地中に浸み込み緑豊かな麓に湧き出でる。その豊富な水と地元で栽培されたお米、木曽谷の厳しい寒さの中、蔵人の酒造りへの熱い思いにより美味しい『中乗さん』が生まれます。

【米】

中乗さんのお酒は全量長野県産を使用しております。安曇野松川村産 こだわりの美山錦、木曽上松町産 自家栽培の山恵錦(さんけいにしき)等により醸されています。酒造りの終わる4月から種蒔きをはじめ、5月に田植え10月の刈取りまで 社員一同出来上がるお酒を思い浮かべながら酒米作りにも力を入れています。

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【精米】

精米は目的の酒質にするために最も重要な原料処理です。玄米には色々な栄養があり健康に良いと言われます。
酒米も玄米には多くの栄養があり麹や酵母が元気になりすぎてお酒造りが難しくなったり味の濃い飲みにくいお酒になったりします。そのため目的の酒質にあわせた精米を行います。酒税法でも大吟醸や純米吟醸など特別なお酒は精米歩合が定められています。

【洗米】

洗米は、第二の精米とも言われ、米の表面に残る糠、たんぱく質や脂肪などお酒に雑味を持たせる成分を手早くきれいに洗い流します。真冬の木曽谷は、マイナス10℃以下になる日もあり、井戸から出た水は一度蔵の貯水槽に貯められ、洗米の時には4~5℃くらいまで冷やされています。そんな寒さと冷たい水により、洗米する作業は身の引き締まる思いです。

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【浸漬】

洗ったお米は必要な水分を吸わせるため水に浸けておきます。この時、お米に吸わせる水分は米の重さの約3割。この水分により、後の工程である麹造りや醪(仕込み)での米の溶け具合、醗酵にも影響を与え搾ったお酒の酒質も変わってきます。そのため、秒単位の浸漬と正確な水分量が必要となります。浸漬の終わった米は、水分がまばらにならないよう布に均一に広げられ、一晩ねかせます。

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【蒸し】

お米を蒸す釜を甑(こしき)と言います。お米を蒸す甘い香りが酒蔵の周りを包み込み甑から出る蒸気が蔵の外で厳寒期の木曽川に沿う中乗さんを飾ります。

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米を蒸している様子です。蒸した米を広げて冷まします。

【麹づくり】

日中でも寒い冬も麹を作る部屋は30℃近くもあり、その中で麹を2昼夜かけ製麹します。麹を作っている期間は夜中も時々様子をうかがいに起き寝不足な毎日が続きます。

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蒸米に麹菌を撒いています。 麹の塊を丁寧に解します。

【酒母】

お酒のアルコールや吟醸酒のように素敵な香りを生み出す役を酵母が行います。この酵母を小さなタンクで大量培養するのが酒母です。酵母には色々な種類がありリンゴの香りやバナナの香りを思わせるものもあります。酒造期間中は仕込み蔵同様甘い香りがたちこめます。

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甘い香りの立ち込める酒母室の様子

 

【醪 もろみ(仕込み)】

麹、酒母が出来上がるといよいよ大きなタンクに仕込みます。酒母に麹、蒸米、水を入れ20~35日かけゆっくりお酒になっていきます。活発に発酵をするタンクからは耳をすますとピチピチシュワシュワ元気に発酵しているもろみの声が聞こえてきます。酒造期間中仕込蔵はもろみの甘い香りがたちこめます。

仕込み蔵 もろみ
『ピチピチ…シュワシュワ…』もろみの声聞こえますか?

【しぼり】

じゅうぶん発酵したもろみは清酒と粕に分けられます。この時搾るお酒はまだまだ炭酸ガスを多く含み口の中で香りと味がはじけます。蔵人にしか味わえない特権です。


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しぼりたての酒の様子です。

製造期間中に酒蔵見学に来られた方は是非一声『搾ってるお酒飲みたい。』運が良ければ味わえるかも。

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【貯蔵】

搾ったお酒は濾過をして火入れ殺菌(65℃に熱する)を行いタンクに貯蔵されます。酒蔵の中は土蔵に守られ夏でも涼しく製造期間中の活気ある蔵とは変わり静かに出荷を待つお酒が眠ってます。

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